障害の有無に関わらず、全ての子どもが発達する権利を持ち、それを実現していく責務が社会にあるという発達保障の理念に基づき、大津市の障害乳幼児対策は進められてきた。
その開始は、1973 年から75 年にかけての「保育園・幼稚園における障害児保育の開始」、「乳幼児健診のシステム確立」、「障害を持つ子どもとその保護者を対象とした『親子教室』の開始」である。「乳幼児健診・大津方式(1974 年方式)」「障害乳幼児対策・大津方式(1975 年方式)」として整備され、乳幼児健診での障害の早期発見・早期対応、療育教室での早期療育・保護者支援活動を経て、保育園・幼稚園での保育、教育につなぐという3 つの柱を基本にした発達支援システムが確立された。療育分野については、大津方式の策定後すぐに、やまびこ教室(1977 年)及びやまびこ園(1981年)を開設し、親子への支援を充実させてきた。
2006 年には、旧志賀町との市町村合併により、北部子ども療育センターわくわく教室が開設され、下阪本学区以北の発達支援の拠点として整備された。わくわく教室の開設により、より身近な地域で療育を受けることが、親子にとっての安心につながることが示唆され、当時、乳幼児人口が市内で最も多く、療育の必要性がある子どもも多く暮らしていた東部地域にも療育の場を整備することを関係課と共に検討し、2011 年に東部地域及び田上・大石学区を対象とした東部子ども療育センターのびのび教室の開設に至った。
一方で、知的な能力や理解力は一定あるが、人との関係を作ったり、自分の行動をコントロールしたりするなど社会生活を送る上での困難を持っている、また、将来学習上の困難を抱える可能性がある子どもに対しては、乳幼児健診で発見されるものの療育的な支援ができる場がなく、健診後のフォロー教室での支援でとどまっていた。2005 年に発達障害者支援法が施行され、このような子ども達も「発達支援を求めている子ども(要発達支援児)」として、発達支援や育児支援を行う必要性が関係課で議論され、2006 年の子育て総合支援センターの開設と共に、同センターにて「発達支援療育事業」が開始された。さらに、東部地域にその必要性が高い子どもが多かったことから、東部子ども療育センターでも実施することとなり、現在に至っている。
近年は、児童分野でも相談支援専門員による相談支援が必要となり、やまびこ相談支援事業所(2014 年)及びわくわく相談支援事業所(2021 年)を開設し、就学前の障害福祉サービスの利用について、保護者の相談に応じている。療育施設を利用する際に保護者の思いを整理し、適切な支援につながるよう、各療育教室と密な連携を図っている。また、
2023 年には、東部子ども療育センターにて増設工事が行われ、長年の課題であった東部地域での肢体不自由児や医療的ケアを必要とする児の療育が実施できる環境が整えられている。
・「社会的事業所」
1970年代から,障害者と健常者の対等性を追求して共に働く実践として「共働事業所」の運動が展開されてきた。1975年に当時無認可の作業所であったねっこ共働作業所の立ち上げに関わった。「国の制度では、補助金は「職員の給料」を保障するものであり、障害者に渡すことはできないとされていました。障害者にも分配できる補助金制度の設立を求めた取り組みの結果、2005年に全員と雇用関係を結ぶことを義務化した滋賀県社会的事業所制度が設立。その設置運営要綱において、補助金の使途を「給料」としたことで、誰にでも使える補助金になり、対等性が担保されました。また、社会的事業所では障害者自身の経営参画を義務化しているところも大きな特長である。
・「働き暮らし応援センター」
滋賀県では2005年に障害者の就労ニーズと企業の雇用ニーズを把握し、地域に密着した就労支援を進める拠点として、「働き・暮らし応援センター」を順次7つの全福祉圏域に整備することにした。働き・暮らし応援センターは、就労支援を切り口に必要な生活支援も一体的に実施することを目的に障害者就業・生活支援センターの「雇用支援ワーカー」「生活支援ワーカー」に加え、就労先を開拓する「職場開拓員」、就労後の職場定着を支援する「就労サポーター」の2名を県独自に配置している。